「歯が痛い」のにレントゲンなどで異常は見つからず、歯にも歯ぐきにも異常がない場合「非歯原歯痛(ひしげんせいしつう、歯科以外の病気で歯が痛い感覚がある)」の可能性があります。
あなたが「歯医者で診てもらったが歯の痛みの原因がわからない」場合や「歯を抜いてもらって(抜歯)しばらくたつがまだ痛い」場合の解決の「答え」になれば幸いです。
目次
非歯原性歯痛(ひしげんせいしつう)とは?
「歯が原因でない歯痛」のことで、「口腔顔面痛(こうくうがんめんつう)」ともいいます。歯科的な原因、異常が無いにもかかわらず、歯が痛みを感じる状態をいいます。
代表的なものは以下になります。
①筋、筋膜性歯痛(きんきんまくせいしつう)
【症状】「鈍い痛みがずっと続く」「肩がこると歯も痛くなる」などがあげられます。
【原因】あごを開け閉めする筋肉の疲労(使いすぎ)による痛みが原因で昼間のかみしめや就寝時の歯ぎしり、くいしばりなどで過度のストレスがあごの筋肉を疲労(筋肉痛)させます。スマートフォン操作、デスクワークなど下向きの姿勢が続くとかみしめ(=かむ筋肉が疲労する)が発生しやすくなります。
【対処法】かみしめないようにし、筋肉をリラックスさせる。硬いもの(ガム、ナッツ類、フランスパン、等)を控える。マッサージ、ストレッチングなど有効なことがあります。
②群発頭痛(ぐんぱつずつう)
【症状】「目がチカチカした後、歯が痛くなる」「鼻水、涙もでる」「お酒を飲むとでる」「激痛」
【原因】 神経、血管の痛み。
【対処法】 口腔顔面痛、頭痛外来、神経内科などでの鑑別判断がまず必要。
③心臓性歯痛(しんぞうせいしつう)
【症状】「息が上がると歯やあごが痛くなる」「胸、うで、首も一緒に痛くなる」
【原因】狭心症、心筋梗塞
【対処法】ただちに、内科、循環器科で精査が必要。
④神経障害性歯痛(しんけいしょうがいせいしつう)
【症状】「顔を洗うと痛い」「痛くてひげが剃れない」「お化粧する時に痛む」「なにか食べると痛い」
【原因】 三叉神経(さんさしんけい)、舌咽神経痛(ぜついんしんけい)の痛み。
【対処法】神経痛のお薬を服用する。
⑤上顎洞性歯痛(じょうがくどうせいしつう)
【症状】「上の奥歯の鈍い痛み」「眼の下から頬にかけての圧迫感」「鼻詰まり、鼻水が出る」
「咬むと痛い」
【原因】上顎洞の炎症(蓄膿症、ちくのうしょう)
【対処法】①歯性と②鼻性の2つがあり、歯性は歯科、鼻性は耳鼻科へ診断してもらう。
⑥突発性歯痛(とっぱつせいしつう)
【症状】「痛み止めが効かない」「歯を抜いが、抜いたところが痛い」
【原因】脳の神経ネットワークの不調和
【対処法】痛みを感じている部分(歯、歯ぐき、舌、など)を治療しても改善しないので、飲み薬で対応する。
⑦精神的なものによる歯痛
【症状】「痛みは一定で、数週間、数か月以上変化が無い」「歯科治療を継続しても改善が無い」
【原因】うつ病、等
【対処法】心療内科などで鑑別していただく。
まとめ
・歯に原因はないが歯に痛みを感じる場合を「非歯原性歯痛」という。
・非歯原性歯痛の場合は歯を治療(神経の治療、抜歯、等)しても痛みはおさまらない。
・痛みの原因がわからないと治せないので、まず原因の特定が大切。
・専門の医療機関への受診が必要になる。