あなたが歯医者で「なるべくレントゲンを撮りたくない」「何枚もレントゲンをとることがあるが大丈夫なのか?」と心配されることがあるかもしれません。本当のところはどうなのでしょうか?その「答え」を解説いたします。
※X線=放射線の一種
目次
結論:心配はない
歯科の場合、レントゲンの情報がないと歯の内部の状態が分からないため治療ができません。病気や症状(痛み、腫れ)の原因を特定するために撮影します。
歯科のレントゲンで使用するX線の量は少なく、さらに部位が限定(撮影エリアが小さいため)されているため通常レントゲンを撮影しても心配する必要はありません。
歯科の場合
①パノラマ撮影(レントゲン大、1枚でお口全体を撮影するタイプ)
②デンタル撮影(レントゲン小、1枚で歯を2~3本撮影するタイプ)
が通常使用されます。
妊娠されている場合でも、問題ない(必要性、緊急性と比較して)とされていますが、通常心理的な抵抗感があるため撮影は控えることが多いことが実情です。
その理由
そもそも数値的に少ないため
心配ない理由は以下の通りでX線の量が少ないためです。
①パノラマ撮影 1回 0.03ミリシーベルト
②デンタル撮影 1枚 0.01ミリシーベルト
③歯科用CT撮影 1回 0.1 ミリシーベルト
(参考:医科の分野の胸のX線集団検診は 1回0.05ミリシーベルト)
また、歯科の場合は、部分的なもので、防護衣も着けているため実際のX線の量はさらに少なくなります。
イメージしやすいように、自然に受けている放射線量と比較してみましょう。
自然界より受けている量よりも少ない
私たちが何もしなくても、日常でも放射線を浴びている(被ばく)事実はあまり知られていませんが以下のようになります。
日本人一人あたり自然放射線量 :年間 2.1ミリシーベルト(空、地面、食品、等)
世界の一人あたり自然放射線量 :年間 2.4ミリシーベルト
東京⇔NYを1往復 :0.2ミリシーベルト程度
放射線作業従事者年間線量限度 :50ミリシーベルト(1年間)
図から分かる通り、空、地面、食品、からも私たちは常に放射線を受けていて、年間2.1ミリシーベルトほどになります。
パノラマ撮影(レントゲン大)と東京⇔NY往復と比べてみても分かる通り放射線量は「歯科<海外旅行」になります。
どの程度までなら気にしなくて良いのか?
一般公衆の年間線量の限度が「1ミリシーベルト」とされています。それ以下であれば気にしなくて良い範囲と考えられます。
歯のレントゲンの小さいもの(デンタル撮影)なら1年間で100枚ほど撮影しても許容範囲になります。
ところでシーベルト、グレイ、ベクレル、ってなに?
一言でいうと、放射線(X線などの)の単位です。
シーベルト(Sv):放射線を受けた時の人体への影響を表す単位。
グレイ(Gy) :放射線のエネルギーがどれだけ物質に吸収されたかを表す単位。
ベクレル(Bq) :放射性物質が放射能を出す能力(放射能の強さ)の単位。
【例えると】
ベクレル:太陽から発生した日光の強さ
↓ ↓ ↓
グレイ :皮膚に当たった日光の量
↓ ↓ ↓
シーベルト:日焼けの程度
(1ミリシーベルト=0.001シーベルト)
まとめ
・歯科のレントゲンの影響は心配はない。
・レントゲン撮影ができないと歯の治療自体ができない。
・それでも心配であれば、年間の撮影回数(医科も含め)などかかりつけ医に報告相談してみる。
≪参考≫
環境省HP