あなたが「インプラント」の治療をしようと考えたとき、どこの歯科クリニックでおこなったらよいのか悩むことがあるかもしれません。
歯科クリニックを「選ぶポイント」のひとつにCT(シー・ティ:Computed Tomography : コンピューター断層診断装置)を使用した検査が可能かどうかが挙げられます。
なぜインプラントの治療でCTの検査が必要なのでしょうか?その「答え」を解説いたします。
目次
CTを撮影するメリットは?
一言でいうと手術の「安全性」と「正確性」を高めるためです。
理由①インプラントの安全性が高まるため
![インプラントをする時の歯医者選びのポイント①安全性にこだわる歯医者](https://dental-answer.net/wp-content/uploads/3862c663d7cfbb784a6010050158d6fa.jpg)
安全性がすべてにおいて優先する
インプラントは「外科手術」になるので「安全性」がなによりも優先します。
インプラントは「あごの骨の中」にインプラント(”フィクスチャー”といいます)をお入れする治療になります。
![インプラントの見本奥歯](https://dental-answer.net/wp-content/uploads/96b0482590116cea6fac7bf9d04184be.jpg)
金属の部分がインプラントのフィクスチャー部分
骨の内部には神経や血管が通っているので(手さぐりでおこなう訳にはいきません)骨の形や神経の位置などをあらかじめ検査で確認してからおこないます。
![レントゲンの見本](https://dental-answer.net/wp-content/uploads/0ad8a50c2c448ed3acf18f40d8f01fec.jpg)
骨の高さはわかるが厚みはわかりづらい
通常のレントゲンでも骨の状態が写ってきますが以下の2点が残念ながらわかりません。
①骨の厚み(平面の画像のため、骨の形の奥行がわからない)
②骨の硬さ(発泡スチロール~樫の木までと様々なタイプがあります)
そこで、骨の形を立体的にイメージできるCTが活躍します。
![インプラントをする時の歯医者選びのポイント②CT撮影するクリニック](https://dental-answer.net/wp-content/uploads/c94699f44f148e41e1fa328424cb4a0c.jpg)
CT撮影により骨の形が立体的にわかる
太い神経、血管があればその場所も事前にわかるため、あらかじめその部分を避けてインプラントをお入れすることが可能になり、安全性が高まります。
骨の硬さが検査の時点でわかるため「実際おこなってみたが骨が柔らくてできなかった」という事態も避けられます。
理由②インプラントの正確性が高まるため
骨の形、硬さが事前にわかってイメージができても、実際その通りにできるかどうかは技術の差になります。
理想的な場所にインプラントをお入れするためにCT撮影時や実際の手術時にマウスピース使用することがあります。
![インプラントをする時の歯医者選びのポイント③マウスピースを使う](https://dental-answer.net/wp-content/uploads/b7ad8765c0783eed25b93316d05f343d.jpg)
CT撮影時に使用するマウスピース
インプラントの位置は、見た目(審美性)、かみ合わせ(機能性)、お手入れのしやすさ(清掃性)に影響するためにインプラント治療を成功させるための重要なポイントになります。
そもそもCTって?
![レントゲンとCTの違いをやさしく説明したイラスト](https://dental-answer.net/wp-content/uploads/91ad1e4c8468cb118f39d097721fb907.jpg)
CTは最終的に画像を統合する
一言でいうと「通常のレントゲンの進化形」です。
通常レントゲン:1方向から撮影した一枚 → そのまま1枚の画像としてみる(画像を横につなげる)
CTの場合 :多数の方向から撮影した膨大な枚数→ 専用ソフトで統合し、立体画像としてみる
お医者さんと歯医者さんで使うCTって違うの?
![医科用CT装置と歯科用CT装置の比較](https://dental-answer.net/wp-content/uploads/d272d8a12e0332d5203f4290ae6a1728.jpg)
インプラントの検査はどちらのCTでも可能
「違います」。どこが違うというと「撮影できる範囲と解像度」の違いになります。
①医科用CT
全身がすっぽり入る、ドーナツ型の「丸い空間」にベットに寝た状態で撮影します。
頭~つま先まですべての範囲の撮影が可能です。
②歯科用CT
お口の範囲だけ撮影できるように小型化され、座った(もしくは立った)状態で撮影します。
上あご~下あごの範囲が撮影が可能です。
歯科用CTはお口の範囲の撮影に特化しているので、医科用CTと違い全身撮影はできませんが、
解像度が細かく設定されており、あごの骨、歯の根などの小さな部分の撮影が得意分野になります。
エックス線の照射量も医科用の1/24というメリットもあります。
レントゲンだけではダメなの?
CTがまだ普及していない頃は、通常のレントゲンとお口の型どりをして、
模型上で骨の厚みを計測する方法でおこなう方法もありましたが、
今では、実際内部の神経の場所もわかり、骨の硬さなどもわかるCT撮影をおこなうことがベストの選択と考えます。
どこのクリニックでもCT撮影できるの?
レントゲンと違い、すべてのクリニックにCTが設置されている訳ではないため(20件に1件程度:2016年)、かかりつけのクリニックでCTの設備がない場合は、外部の医療機関に撮影してもらいます。
CTを撮影する場合は次の3つの方法があります。
①大学病院、総合病院でCT撮影をする。
近くに大学病院、総合病院(おもに放射線科)がある場合は、担当の先生から紹介してもらいCT撮影をします。
②CT撮影専門クリニックでCT撮影をする。
CT撮影などの画像診断のみを専門におこなっているクリニックもあります。担当の先生から紹介してもらいCT撮影をします。
③歯科クリニックでCT撮影をする。
もちろん、かかりつけのクリニック内でCT撮影設備があれば一番手間をかけずに撮影が可能です(10分ほど)。
※①②の場合は医科用の大きな装置、③の場合は通常のレントゲン装置程度のコンパクトな装置になります。
まとめ
・CT撮影をおこなう理由は手術の「安全性」と「正確性」を高めるため。
・CTが撮影可能な施設は限られているので事前に確認すると良い。
・CT撮影時にマウスピースを使用するとベスト。