インプラントのトラブルのひとつに「インプラント周囲炎」があります。インプラント周囲炎になるとインプラントの周りの歯ぐきが腫れたり、インプラントを支えている役目をしている歯ぐきの骨が溶けて無くなってしまいます。
進んでしまうとインプラントが自然に抜けることもありますので十分注意が必要になります。
せっかくお入れしたインプラントですので長く使用したいものです。
あなたのインプラントを長持ちさせるための「答え」を説明いたします。
目次
インプラント周囲炎とは?
「インプラント周囲炎」とはインプラントが歯周病になってしまった状態(※)をいいます。インプラントの周りの歯ぐきのが腫れたり、膿がでたりといった症状があり、インプラントを支えている骨も無くなります。
歯ぐきの骨が無くなるとインプラントを支えることができなくなり「グラグラ」してきたり、「自然にインプラントが抜ける」などがおきてしまいます。
厄介なのは、一度無くなって痩せた骨は治療しても元にはまず戻らない点です。
※歯周病⇒天然の歯におきるもの、インプラント周囲炎⇒インプラント(天然の歯ではない)におきるもの、なので表現の仕方が変わります。
日本では9.7%(10人に1人 2016年、3年経過時)が報告されています。これまで国内でインプラントをおこなった方は約300万人ほどですので、約29.1万人以上の方がインプラント周囲炎になっている可能性が考えられます。
歯周病治療先進国のスウェーデンでさえも13%(7.7人に1人 2013年)発生しています。ご自身で「調子が良い」と思っていても油断は禁物です。
ならないようにするには
①タバコは吸わない
タバコは「百害あって一利なし」です。吸う方は本数や喫煙年数によりますが、歯周病の進行(≒骨の吸収、痩せ)が2~8倍早くなります。そもそも喫煙者の方にインプラントはしないことがスタンダードです。
②インプラントの前に歯周病の治療をしっかりおこなう
鉄則になります。
インプラントは一度歯周病になってしまうと天然の歯より100倍(!)早く進むため、なってからではリカバリーが難しくなかなか止めることができないため、そもそも歯周病にならない状態をキープすることの方が時間的、経済的な面からしても合理的です。
インプラントをおこなう予定の方が①喫煙者で②歯周病の治療してない、場合はおこなう前からそもそも長持ちしにくい(失敗しやすい)状態であることを覚えていなければなりません。
③お手入れをサボらない
良くありがちですが最重要です。
はじめのうちはクリニックで教えてもらった通りのお手入れ方法でやっていたが、ついつい調子が良いと「もとの自己流に戻ってしまう⇒インプラント周囲炎の始まり」のパターンに陥りやすくなります。
インプラント周囲炎の原因はプラーク(歯垢、バイオフィルム、細菌の塊)です。毎日のお手入れが習慣になっていることが極めて大切になります。
「サボってしまったばっかりに・・」にならないようにしなければいけません。
④定期的なチェックとクリーニングには必ず行く
インプラントの構造上、見えている歯の形、大きさは天然の歯と同じ形状ですが、根元の部分は天然の歯の根より細いため日常のお手入れのみではプラークの取残しがでやすい場所になります。
この部分を中心に専門的なクリーニングをおこない3~4ヶ月に1回はリセットする必要があります。
⑤内科的な病気はしっかり治す
お体の健康状態はいつも同じではなありません。お体の抵抗力(免疫力)が下がるとインプラント周囲炎は進みやすくなります。糖尿病、骨粗しょう症、腎疾患、などはきちんと治療をおこなうことが必要です。
高血圧、虚血性心疾患(心臓病)、脳血管障害、の治療を歯科治療中にはじめたり、飲み薬の変更などあれば歯科医師に必ず報告することが大切です(お薬の副作用で歯ぐきが腫れやすくなる可能性があります)。
まとめ
インプラント周囲炎は患者様、歯科医師、共に望んではいないことです。インプラント周囲炎を予防するためにもお入れの方法などをチェックしつつ定期的な管理を継続していきましょう。
・インプラントは虫歯にはならないが歯周病にはなりうる、一度なってしまうと天然の歯をより進行のスピードは早い。
・インプラント周囲炎で無くなった骨は元に戻らない。
・タバコは百害あって一利なし。
・歯周病の治療と定期的なチェックとクリーニングは必須。
・健康状態にも影響を受ける。