新型コロナウィルスの影響でマスクの需要が急激に増えてますが、マスクにも様々な種類があります。マスクの種類と特徴についての「答え」を知って効果的にマスクを使用しましょう。
目次
新型コロナウィルスの飛沫(エアゾル)感染対策用のマスクのおすすめは?
【登場人物のご紹介】
患者さんのよくある疑問、質問の代弁者。好奇心旺盛で理解が早い。
東京大手町にある大手町デンタルクリニックの院長。このHPの執筆者。
2015年 日本の歯科100選に選ばれる。
FAQ子
新型コロナウィルス感染症対策でマスクの需要が急激に増えていますがおすすめのマスクはあるのでしょうか?
Dr.島倉
あります。
新型コロナウィルスの感染経路は ①接触感染 ②飛沫感染 の2つが確認されています。
①は物や手についたウィルスが口などに触れて感染します。②は飛沫(エアゾル、しぶき)に存在するウィルスを吸い込むことで感染します。
飛沫を一言でいうと「非常に小さな水玉」のことになります。小さいものだと大体5㎛(0.005㎜)になります。「霧(きり)」や「水しぶき」をイメージするとわかりやすいかもしれません。これが一定時間空気中を漂うのでそれを吸い込むことにより感染する可能性があります。
②の飛沫感染対策を目的としたマスクを「サージカルマスク(医療用マスク)」「N95マスク」といい私も実際に使用しています。
下は実物の写真です。
サージカルマスク
Dr.島倉
サージカルマスクは手術を行う医師やアシスタントの「口→外部」へ飛沫(エアゾル、しぶき)が飛ばないようにするための目的で使用します。
飛沫を遮断する性能があるため外部からも同様な機能を果たします。
ただし、鼻や頬に隙間ができないように正しく装着する必要があります。
N95マスク
Dr.島倉
サージカルマスクマスクに対して、N95マスクは逆に「外部→口」へウィルスなどを吸い込まないようにする目的で使用します。 私も治療で使用しますが、サージカルマスクより細かい粒子をろ過する性能が高いので少し息苦しさを感じることがありますが、フィットも良く頼りになるマスクです。 ちなみに米国の規格のN95マスク(米国労働安全研究所の認定規格)と同様の性能の日本国規格のDS2マスク(国家検定適合品)があります。
マスクの性能の違いはどの位あるのか?
FAQ子
ドラッグストアや薬局で売っているマスクとかなり違うのでしょうか?
Dr.島倉
現時点では手に入り難い状態ではありますが、不織布(ふしょくふ)マスクの場合、ほぼサージカルマスクとほぼ同じ性能のものが購入できます。厳密にはBFE(細菌ろ過率試験)、PFE(微小粒子捕集効率試験)、VFE(ウィルスろ過率試験)、などで95%以上ろ過できているものがおすすめです。 表示例はこんな感じです。
FAQ子
なるほど。3.0㎛(=0.003㎜)の大きさの粒子を99%以上ろ過する性能ってことですね。 細かい粒子をどの位通さないかが性能の違いの一つなんですね。 ところで、サージカルマスクとN95マスクの性能の差はどの位あるのでしょうか?
Dr.島倉
以下の感じです。 より細かい粒を通さない(ろ過できる)方がより高機能と言うことになります。
FAQ子
なるほど、ウィルスなどを含んだ飛沫(エアゾル)は両方ともに通さないが、ウィルス単体まで小さい物になるとN95マスクが必要になるということですか?
Dr.島倉
その通りです。 ご覧の通りウィルスは非常に小さいのでよりろ過機能が高くないといけません。 N95マスクの場合は微粒子の大きさが0.075㎛(空力学的質量径0.3㎛)を95%までろ過できます。 飛沫はサージカルマスクでも阻止できますが、鼻や頬に隙間ができやすいので正しく装着して顔とマスクの隙間を無くしてこそ本来の性能が発揮できます。
FAQ子
なるほど。 赤い矢印のところが隙間が出来やすい所ですか?
Dr.島倉
そうです。 サージカルマスクの場合もともとが平らなので凹凸がある顔にフィットさせるコツが必要で、しっかり手で押さえつけ顔と密着させることが必要になります。 N95マスクは元々カップ状になっているため隙間が出来にくい形になっています。写真ではわかりづらいですが、ゴムひもの強さも強いため顔との密着度がアップしてます(マスクの圧接によるあとがつくことがあります)。
まとめ
・飛沫感染に対して「サージカルマスク」「N95マスク(DS2マスク)」が有効。
・ドラックストア、薬局でもサージカルマスクと同様の性能のマスクは購入可能。
・サージカルマスクの場合は隙間が出来ないよう正しく装着する必要がある。
・サージカルマスクよりN95マスク(DS2マスク)の方が高性能。