歯(永久歯)にも平均寿命があることはご存知でしょうか?
もし「この歯は抜歯です」と言われたらどうしますか? 「まだ先が長いので残したい」「もう十分使ったからあきらめる」などいろいろな思いがあるかと思います。
できれば歯を残して治療をしたいものですが、治療で「歯を抜く(抜歯)」場面に遭遇する可能性は「0(ゼロ)」ではありません。その場合どう判断すれば良いのか?
あなたの「答え」の参考になるのが永久歯の平均寿命です。
目次
【1】50歳位から歯がなくなる
画像は1999年(平成11年)に厚生労働省がおこなった歯科疾患実態調査(6年に1回おこなわれる)のデーターをもとにしたものです。(黄色数字は最小と最大値です)
古いデーターですが、大きな傾向はわかります。
日本人男性の永久歯の平均寿命の図を見てみましょう。
1番最初に最初に寿命を迎えるの歯は左下の1番奥の歯で50.0歳です。
このあたりから徐々に歯の数が少なくなり(抜歯が)始まってくる時期と読み取れます。
全体的に見ても50~60歳中ごろで大半の歯が平均寿命を迎えています(あくまで平均値ですのでそれより長い場合ももちろんあります)。
そうなると、もし、20~30歳代で1本でも抜歯になることは極めて早いということがわかります。
※1999年以前の調査で平均寿命は徐々に長くなってきているので、現在(2017年)ではさらに延びてきていると考えられます。
【2】女性のほうが歯の寿命は短い
次に日本人女性の永久歯の平均寿命をみてみます。
男性と傾向はほとんど変わりませんが
女性の方が0.5~4年ほど寿命が短いことがわかります。
(例1)
左下1番奥の奥歯 : 男性50.0歳 > 女性49.4歳
(例2)
右下奥から2番目の奥歯 : 男性55.5歳 > 女性51.6歳
これは女性は、妊娠、出産などのライフイベントがあり、毎月のホルモンバランスの変調もあることより、歯周病の感受性が高まる時期が存在が影響している可能性があります。
特に、妊娠、出産時は食事の回数が増えたり、つわり等でお手入れしにくくなりますので、女性の方は妊娠前にしっかり歯の治療を終了させておくことが重要と考えられます。
また、お体の平均寿命は女性の方が長いため、長く歯を使用しなければなりません。女性のほうが歯の悩みを抱えることが多くなる可能性があります。
【3】下の奥歯から歯はなくなる
永久歯は、奥歯⇒前歯の順で歯がなくなります。これは男女共通ですが、特に下の奥歯が最初になくなる(抜歯)傾向があり、その原因としては、お手入れがしにくい、親知らずの影響、食べ物が貯まりやすい、などが影響していると考えられます。
同じ奥歯でも上の奥歯は近くに唾液が出る出口(唾液腺の開口部)があるため、下奥歯より自浄作用があるため下の奥歯と比較する寿命がやや長くなっているのではないかと思われます。
【4】下の前歯が1番寿命が長い
最後まで残る歯は下の前歯です。1番お手入れしやすい場所であり、唾液が出る出口も近くにあります。また、舌が常に動いているので自浄作用が良い場所のためと思われます。
まとめ
・歯を抜くか or 残すか、迷った場合はその歯の平均寿命との比較が1つの参考になるだろう。
・50歳位を境に歯がなくなる(抜歯)スピードが増してくる。
・女性は妊娠前にしっかり歯の治療を終了させておくことが重要。
・特に下の奥歯は寿命が短いので要注意。
※参考資料:1999年(平成11年)に厚生労働省歯科疾患実態調査