歯の根の治療(神経の治療、根管治療)しているのに痛みがおさまらないと心配になるものです。
担当の先生にすぐにご相談されることがベストですが、その原因についての理解が深まれば納得しやすくなると思います。
あなたの不安を解決するための12の「答え」をご紹介いたします。
目次
神経をお取りした場合と膿の袋がある場合で違う
歯の根の治療(根管治療、こんかんちりょう)は
①虫歯が深く神経をおとりする場合 (抜髄、ばつずい、麻酔を使います)
②歯の根の先に膿の袋ができた場合 (感染根管処置、かんせんこんかんしょち、麻酔は使いません)
の2つのパターンがあります。どちらも「根の内部の清掃、消毒」をおこない同じ治療のように感じますが、治療の難易度や成功率に違いがあり、治療回数、治り方も違ってきます。
成功率は
①の神経をおとりする治療の場合は90~95%
②の根の先に膿の袋ができた場合は60~70%
となり。②の感染根管治療の方が難易度が高く成功率が低くなります。
※欧米での根の治療を専門に行なっているクリニックのデータ(日本国内とは違います)
■動画での解説がご覧頂けます■
【1】神経をお取した治療で痛みが出る場合
①治療を中断してしまった(間があいてしまった)
お薬の種類によっては2週間以上間が開いてしまうと消毒のお薬の効果がなくなってきて、根の内部が腐敗し始めることがあります。腐敗により根の先に膿の袋ができはじめます。
【対処法】
早急に通院中のクリニックに連絡を取り、治療を再開します。
引っ越しなどの理由で元のクリニックに行けないご事情がある場合は、新しいクリニックに「根の治療の途中」であることを伝え治療を再開します。それまでの間、市販の痛み止めの服用したり、昔頂いた抗生剤があれば服用すると効果がある場合があります。
とくに血行が良くなると痛みが増す場合があるので、飲酒、運動、サウナ、お風呂(シャワーは可)、等は控えます。
②神経の一部が残っている(取り切れていない)
歯の神経は細かく枝分かれしていることがあり、1回の治療ですべての神経をきれいに取り除くことができないことがあります。
残った神経はまだ「生きて」ますので痛みを感じることがあります。次回以降の治療で残りの神経を取り除きます。
【対処法】
次回の治療時に担当の先生に痛みがあったことを伝えます(担当の先生から状態の説明があるかと思います)。
それまでの間、市販の痛み止めの服用しても良いですが、効かないようであれば通院されているクリニックに連絡し、指示を仰ぎます。
血行が良くなると痛みが増す場合があるので、飲酒、運動、サウナ、お風呂(シャワーは可)等は控えます。
③神経の管があるのに見つからない
神経の管(くだ)は奥歯であると3~4本あります。非常に細いので「神経はあるが管の入り口」が見つからないため治療が先に進まない場合があります。神経はまだ生きてますのでやはり痛みを感じます。
【対処法】
神経の管が「石灰化(せっかいか)」と言って、狭くなっている、塞がっている、場合があります。治療の回数が増えることが予想されますが、担当の先生に状況を説明してもらいましょう。
市販の痛み止めの服用し様子を見ます。痛みが治まらないようであれば通院されているクリニックに連絡し、指示を仰ぎます。
血行が良くなると痛みが増す場合があるので、飲酒、運動、サウナ、お風呂(シャワーは可)等は控えます。
④歯が割れていた
歯の内部が割れていたり(破折)した場合、きちんと神経を取り除いたのにかかわらず痛みがでることがあります。
【対処法】
その歯で噛まないことはもちろんのこと、食べ物が当たらないように気をつけます。大きく割れている場合は抜歯になる可能性も出てきますので注意が必要です。
治療途中で歯が割れたことに気付いた場合は早急に通院クリニックに連絡し、指示を仰ぎます。
血行が良くなると痛みが増す場合があるので、飲酒、運動、サウナ、お風呂(シャワーは可)等は控えます。
⑤治療器具が折れてしまった、穴があいてしまった
頻度は少ないですが、偶発事故で、治療器具が折れて取れなくなってしまったり、穴があいてしまった場合も痛みがでることがあります。
【対処法】
次回の治療までの間、市販の痛み止めの服用したり、昔頂いた抗生剤があれば服用すると効果がある場合があります。効かないようであれば通院されているクリニックに連絡し、指示を仰ぎます。
血行が良くなると痛みが増す場合があるので、飲酒、運動、サウナ、お風呂(シャワーは可)等は控えます。
治療回数が増えたり抜歯になる可能性も出てきますので担当の先生に状況を説明してもらい、対応策を相談します。
⑥お薬の刺激
使用する消毒のお薬は多種あります。お薬によっては、まれに刺激がでることがあります。
【対処法】
2~3日で自然に落ち着くこともありますが、1週間以上続く場合は通院されているクリニックに連絡し、指示を仰ぎます。
お薬の種類の交換、洗浄などが考えられます。
【2】歯の根の膿の袋の治療で痛みが出る場合
⑦治療を中断してしまった(間があいてしまった)
お薬の種類によっては2週間以上間が開いてしまうと消毒のお薬の効果がなくなってきて、根の内部の腐敗が進み、再び膿が溜まってきます。
【対応策】
早急に通院中のクリニックに連絡を取り、治療を再開します。
引っ越しなどの理由で元のクリニックに行けないご事情がある場合は、新しいクリニックに「根の治療の途中」であることを伝え治療を再開します。
再開するまでの間、市販の痛み止めの服用したり、昔頂いた抗生剤があれば服用すると効果がある場合があります。
血行が良くなると痛みが増す場合があるので、飲酒、運動、サウナ、お風呂(シャワーは可)、等は控えます。
⑧歯が割れてしまった
歯の内部が割れていたり(破折)した場合、割れた箇所から汚れや細菌が入り込みます。また、割れ方が大きい場合は割れた箇所が動くと痛みがでます。
【対処法】
その歯で噛まないことはもちろんのこと、食べ物が当たらないように気をつけます。大きく割れている場合は抜歯になる可能性も出てきますので注意が必要です。
市販の痛み止めの服用したり、昔頂いた抗生剤があれば服用すると効果がある場合があります。
治療途中で歯が割れたことに気付いた場合は早急に通院されているクリニックに連絡し、指示を仰ぎます。
血行が良くなると痛みが増す場合があるので、飲酒、運動、サウナ、お風呂(シャワーは可)等は控えます。
⑨汚れが残っている(取り切れていない)
内部の汚れの量が多かったり、根管(こんかん、根の管)が複雑に枝分かれしている場合、内部の汚れをきれいに取り除くことが難しい場合があります。もともと根管の直径は0.1~0.3㎜ほどと非常に細く狭い空間のため汚れが確認しにくい環境です。汚れが残っていると再び膿が溜まってきます。
【対処法】
通院されているクリニックに連絡し、指示を仰ぎます。難治性の場合(根の形状が複雑、等)は根の治療に力を入れているクリニック(歯科用顕微鏡、歯科用CT、などある)に相談する場合も考えられます。
市販の痛み止めの服用したり、昔頂いた抗生剤があれば服用すると効果がある場合があります。
血行が良くなると痛みが増す場合があるので、飲酒、運動、サウナ、お風呂(シャワーは可)等は控えます。
⑩根の管が詰まって硬くなっている
根の管が塞がり、硬くなり(石灰化)治療器具が到達できない場合があります。その場合、清掃、消毒ができないことがあります。その場合膿の袋が無くならないことがあります。
【対処法】
通院されているクリニックに連絡し、指示を仰ぎます。難治性の場合(根の形状が複雑、等)は根の治療に力を入れているクリニック(歯科用顕微鏡、歯科用CT、などある)に相談する場合も考えられます。
市販の痛み止めの服用したり、昔頂いた抗生剤があれば服用すると効果がある場合があります。
血行が良くなると痛みが増す場合があるので、飲酒、運動、サウナ、お風呂(シャワーは可)等は控えます。
⑪体調不良
疲れていたり、体調が悪い時は免疫、抵抗力が低下し、腫れや痛みが出やすくなります。飲酒、風邪、寝不足、疲労、運動、サウナがきっかけになることがあります。その場合膿の量が増えることがあります。
【対処法】
通院されているクリニックに連絡し、指示を仰ぎます。
市販の痛み止めの服用したり、昔頂いた抗生剤があれば服用すると効果がある場合があります。
からだを休め、疲れないようにします。血行が良くなると痛みが増す場合があるので、飲酒、運動、サウナ、お風呂(シャワーは可)等は控えます。
⑫内部の細菌バランスが変わった
膿の袋ができる原因は根の管の内部に存在する細菌です。数百種類の細菌がいますが、空気に触れることにより一時的に活性度が大きくなる細菌がいる場合があります。その場合も膿の量が増えます。
【対処法】
通院されているクリニックに連絡し、指示を仰ぎます。
市販の痛み止めの服用したり、昔頂いた抗生剤があれば服用すると効果がある場合があります。
からだを休め、疲れないようにします。血行が良くなると痛みが増す場合があるので、飲酒、運動、サウナ、お風呂(シャワーは可)等は控えます。
まとめ
・根の治療中の痛みの原因は多数あるので、まず担当の先生に相談を。
・体調にも影響されるため、無理をせず安静にすることも大切。
・歯の根の治療(根管治療)の難しさは「歯の先の膿の袋を治す > 神経をお取りする場合」で膿の袋の治療の方が難しい。なので、将来的に膿ができないようにするため最初の根の治療が重要。